先月まで、テーマごとに絵本やおもちゃをご紹介していましたが,今月はワンコイン勉強会をきっかけに考えた「遊び」についてのコラムをお届けします。
私は子どもが集中して遊ぶ姿を見るのが大好きです。水道で、ずーっと水を触っている子、おもちゃの車を動かし、車輪の動きを見続けている子。その姿はまるで、実験している科学者や、哲学者のようです。水、砂、土をはじめとした自然物、布や紙などの素材、そして良質なおもちゃ。こうしたもので遊び、子どもたちは、この世界がどうなっているのか、また、自分はどういう存在なのかを実験しながら理解していくのではないでしょうか。もちろん、子どもはそんな難しいことなど関係なく、ただおもしろいから遊んでいるだけですが。
子どもが夢中になって遊ぶ姿を見ていると、こちらも幸せな気分になります。だからといって、集中して遊んでいるのに、わざわざこちらから働きかけ、子どもの世界をこわすのは禁物です。わかってはいても、私は子どもと遊ぶのも好きなので、「ごはんできましたよ。」などと一緒に遊んでほしいサインを出してきた時は喜んで一緒に遊んでいました。
大人は、子どもに楽しい時間を過ごして欲しいと遊ばせるわけですが、遊びを通して成長を促そうという思惑もありますよね。けれども、この大人の思いが強いと、子どもに遊びと称する指導を強要してしまうことにもなりかねません。
「うちの子はせっかく用意したのに積み木で全く遊ばないんです。」というご相談を時々受けることがあります。理由はいろいろあるのでしょうが、やれと言われると気持ちがそがれることって大人でもありませんか?あとは、まだその子が興味を持つ時期ではないということもあるのかもしれません。
本来「遊び」は子どもの主体的な行動であるはず。大人がやりなさいというものは、もうその時点で遊びではなくなってしまうのでは?と私は思います。保育の現場で子どもたちの成長を見てきた実感からも、子どもの中には、成長に必要な欲求が自然と湧いてくるものだと思っています。大人はつい、「早く早く!」と言ってしまい、「待つ」のはなかなか難しいですが、できれば子どもが自分からやりたくなるまで、待ってあげてほしいものです。
とはいっても、性格的に自分から何かを始めたり、気持ちを上手く表現でいない子もいます。そんな子には、大人がやって見せてあげ、一緒に遊んであげることも必要です。そうすると、段々といろんなことに興味を持つきっかけにもなります。構い過ぎても良くないし、放ったらかしもだめですし、子どもによって性格も違う。子どもに寄り添うって難しいけど、だからこそおもしろいんですよね。