昨年、百町森の遊び場プレイオンでシュタイナーの親子教室をしていた鈴木陽子先生にご紹介いただき、今回は東京のシュタイナー幼稚園を訪れました。鈴木先生には、保育士向けのセミナーや勉強会でもお話をうかがう機会があり、シュタイナー教育の子どもたちへの接し方、発達の考え方などに興味を持ち、ぜひ一度幼稚園を見てみたいと思っていました。クリスマスの前に、幼稚園の子どもたちの様子を一日を通して見させていただく事ができました。
静と動のリズムを大切にした一日の流れ
なのはな園は、三鷹市井の頭の一般住宅を園舎とした自主運営の幼稚園です。幼稚園といっても、法的には認可外保育施設、特別な幼児教育をしている幼稚園はそういうところが多いそうです。松浦先生に「シュタイナー幼稚園というと静かなイメージを持たれる方が多いですが、うちの子どもたちはとっても元気なんですよ。」と事前に聞いていました。
(8:45 ~ 登園後、自由あそび 年少児から年長児までが一緒の縦割りクラス。1 クラスで31 名の子どもたち。各々がやりたい事を見つけて遊んでいます。)
自由遊びでは、ままごと遊び、積み木、手仕事、クレヨン画などを思い思いに遊んでいました。年長児の男の子たちは、机や椅子、板等を自分たちで考えて組み、羊毛ボールやお手玉を転がして実験しながら遊んでいました。片付けの時間になると、先生も子どももみんなで役割を持って片付けていきます。自由遊びの時間におもちゃや道具でいっぱいだった部屋が気がつくと、ホールの様に片付けられ、子どもたちは円になって座りました。中央で松浦先生がライアーを弾き始めると元気な声で溢れていた部屋がシンっと静まり返りました。「シュタイナー教育は、呼吸のリズムをすごく大事にしています。遊んでいる時は、みんな騒々しくてもいいと思っています。だけど、1回片付けたら座りましたよね。 そこで1回閉じるんです。そして、ライゲン(季節の歌や、伝統的な歌を歌ったり、踊ったりする)をしておやつを食べて...、と。この開いて、閉じる、静と動の繰り返しなんですね。」と松浦先生。
(10:00 ~ 片付け後、ライゲン この日は、次の日からクリスマスの生誕劇が始まるとのことで、キリストの生誕のお話のライゲンをしていました。)
(11:00 ~ 散歩 園庭で散歩に出る準備中。活動もおやつ同様に曜日で決まっている。木曜日は散歩。雨の日でもレインウェアで出掛けていく。)
静の活動のライゲンの後は、また動の活動お散歩でした。曜日により、お昼の野菜スープを作る、にじみ絵、オイリュトミー(音楽や詩に合わせて、体を動かしてストーリーや感情を表現する)、クレヨン画などの活動をしているそうです。そして、戻ってくると松浦先生のおはなし。この日は、「働き者の小人の水晶」のおはなしでした。第1アドベント(クリスマスまでを待ちわびる4週間の1週目)で、鉱物に関するものを探され、なかなかないので、ご自分で作られた先生のオリジナルのおはなしだったと後から聞いて驚きました。その後、昼食(野菜スープを作る月曜以外はお弁当)を食べ、降園時間まで手仕事などをして過ごします。この日は指編みをしていました。
環境づくりとおもちゃ、そして手仕事
お散歩に行く前にカーテンと窓を開けて園庭が見えると、まるで別の空間に来たかのようにガラッと雰囲気が変わり、環境づくりからも、子どもたちが気持ちを切り替えやすいよう工夫されているように感じました。どんな環境が子どもが落ち着き、自分に立ち返れるかをお部屋の環境づくりからも工夫されていました。
(自然素材のおもちゃ おもちゃというより素材的なものが多い。木の実、枝、竹、布、お手玉、砂袋など。片付けるカゴ、場所、数なども決まっています。)
また、おもちゃは自然物や手作りのものが多く、木片が電車にも電話にもなるように、子どもたちが想像力(ファンタジー)を働かせて遊べる様に素朴な物を選ばれています。 今回特に新鮮だったのが、子どもの傍にいる大人は、遊んでいる様子を見守っているだけでなく、手仕事をすることです。私もフェルト通し用のフェルトを切る作業をしながら見学させてもらいました。 大人の関わり、手仕事の意味など、次回はそんなシュタイナー教育の考え方をお伝えします。
(手仕事(刺繍、人形の洋服作り)自由遊びの時間に中央のテーブルで刺繍や小さなフェルトに針を通す、フェルト通しをしていました。季節によって変わるそうです。)