明星保育園 前編(2016年5月号)

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 明星保育園(園長 伊久美奈保子先生)は、百町森のある静岡市の隣、焼津市のお寺の保育園です。職員の方は百町森の保育セミナーに皆勤賞で、ワンコイン勉強会にもよく参加してくださっています。ちょうど1年前に、主任の櫻井先生とお話をしていると、「次年度からいよいよ異年齢保育を始めます。」ということを聞き、それはぜひ取材させて下さい、とお願いしました。

異年齢保育をはじめたわけ

 異年齢保育とは、小学校のようにクラスを年齢で分けず、主に3歳児から5歳児が一緒に過ごす保育のやり方です。まずは異年齢保育を始めようと思われたきっかけを伺いました。

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(幼児保育室 奥にままごと、ケーキ屋さん、その手前に積み木、テーブルではLaQ、工作でケーキ作りなどをしていた。)

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(ケーキ屋さん お店やさんごっこのケーキも子どもたちが空き箱を使って工作で作っていた。なかなかの出来ばえ。お客さんもワクワクしそう。)

 明星保育園は、以前は園児数が少なく、年長児が一桁の人数だった年もあったそうです。さらに、学年で人数のばらつきもあり、便宜上4、5歳児クラスの合同保育をしていました。その後、園舎を建て替えたことを機に、定員も増やし園児数が増えてきました。そこで、もう4、5歳児の合同クラスではなく、学年で保育ができるという状況になりました。しかし、異年齢で一緒に過ごしてきた良さを、ここで捨ててしまうのはもったいないと考えるようになったそうです。同年齢、異年齢の保育をどちらも実践し、それぞれの利点、欠点を体験して、異年齢の良さを選ばれたということでした。

異年齢保育の良さ

 異年齢で過ごす良さとは、例えば、年下の子が大きい子達の姿を見て、自分もあんな風になりたいとあこがれ、真似をする。できないことを助けてもらい、年上の子には小さい子を思いやる気持ちが育ち、助けてもらった子は自分がしてもらった事を次にしてあげようと思う様になる。そういう良い循環ができて来ます。そして一緒に生活することで、次の年には、大人の指示がなくても、何をするのかを見通しを持ち、自分で決められること。だから、次の年を楽しみに、翌年はさらに発展できるそうです。また、同年齢だけで過ごしていると、苦手なことや、遅れてしまう子、早生まれの子が目立ってしまうところも、異年齢の中にいるとうまくバランスが取れると、次々と利点を挙げて下さいました。

 見学時には、すでに年長児は卒園に向けて別の部屋での生活になっていましたが、異年齢の保育室では、年少、年中が一緒に過ごし遊んでいました。異年齢クラスの部屋ではままごとコーナーの横にケーキ屋さんが作られていました。そのケーキは子ども達が工作で手作りしたものでした。年少児だけではきっと、ここまで遊びが発展できないかもしれません。しかし、年上の子がいることで遊びも引っ張ってくれる、もちろん、生活の手本にもなる。保育室の様子からもそんな風に過ごしている子ども同士の関わりが見て取れました。
 また、今は家庭や地域での異年齢の遊びが少なくなってきています。そこで、保育園の意義として、家庭や地域でできないことを補う、そこをきちんと育ててあげることも大事な役割だと考えているそうです。

保育園はチームワーク

 異年齢保育を始めた今年度は、幼児クラスの担任4人でとことん話し合いをしてきたそうです。そのおかげで職員間のまとまりができたそう。何かを始める時、そのことについてしっかりと話しをするようになる。異年齢保育を始めて、保育が変わっていく成果よりも、みんなで話す時間を作り、話し合いをしたことが、一番プラスになったと保育士自身が感じられたそうです。「保育園はチームワークだ。」と言いますが、そのために、まずは職員間でしっかりと話し合いをして連携が取れることが大切なんですね。来年度は、幼児の担任保育士は6名になり、本格的に3クラスで異年齢保育を進めていく明星保育園。新年度を迎え、子ども達の関係でき、遊びが深まる頃にまた、子どもたちの遊んでいる様子を見させいただこうと思います。

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(机上の積み木 百町森と長いおつきあいという事もあり、相沢の積み木ショーが園の年間行事に入っている。遊びたくなるディスプレイ。)

 次号は、明星保育園の異年齢保育に以外にも、子ども達のために保育を変えてきたこと、また、変えずに大切に続けていることについてさらにご紹介する予定です。お楽しみに。