泉の台幼稚舎のゲミノたち

伝統あるドイツ生まれの室内プレイスペース

泉の台幼稚舎のゲミノたち

はじめに

金沢市に泉の台幼稚舎という名前の保育園があります。保育園なのに幼稚舎?と思われる方が大半だと思いますが、昭和50年園設立当初の、新保裕子園長の志が、この名前に表れている気がします。

曰く、養護と教育の一体となった、保育所を越える保育所。保育園、幼稚園の概念に捕らわれない、新しい幼児教育施設という感じでしょうか。

裕子園長は、現在は法人2ヶ園目の、千鳥台幼稚舎の園長をされていて、泉の台幼稚舎の方は、息子の雄希さんが園長を務めています。

私は、この幼稚舎2ヶ園を含む仲良しの園4ヶ園に研修を頼まれて、過去5回ほど勉強会をさせて頂きました。

園舎

園舎

新保裕子法人統括園長

新保裕子法人統括園長

新保雄希園長

新保雄希園長

ゲミノ始動 !

一年ほど前の事でしょうか、泉の台幼稚舎に園舎移転(同敷地内ですが)の計画がもちあがり、それに併せて各保育室内に大型家具を設置したいと、雄希園長から話があったのです。室内の一角に、さらに2階建てのハウスを置きたいという訳です。おまかせ下さい!私、相沢が最も得意とする分野です。てなことで、早速金沢に跳びました。雄希園長との、何度かの話し合いの末、7部屋に設置するハウス全てを、既製品でなく泉の台オリジナル設計で建てよう!という事になりました。そしてなんと、そのオリジナルプランを私に任せて頂ける事に相成ったのです。

プランニングは、安全面、品質、部材の多様性などを考えて、ドイツのHABA社のゲミノの部材を使って組み立てようと、早い段階で決めていました。

手描きプラン

0歳児、1歳児(低月齢)、1歳児(高月齢)、2歳児、年少児、年中児、年長児の、各保育室に最もふさわしいプランを設計するという、実に楽しく、かつ実に大変な仕事をさせて頂いた訳です。子ども達が一目で好きになり、わくわくと楽しく遊べるような物にしたいなと、頭をひねりにひねります。0~2歳までの部屋は特に発達を考えないといけないなとか、金沢の冬は雪で外遊びが出来ない期間があることを考慮して、幼児クラスは(室内だけど)多少の動的遊びの要素も欲しいなとか、様々な試行錯誤の末、とうとう第1プランが完成しました。因みに、昨今こうした設計図面は、CAD(コンピュータの設計ソフト)なんかで作成するのが当たり前ですが、私の場合は全て手描きです。その方が絶対早いし、見た人が分かりやすい絵が描けると、私は思っています。何より描く作業が圧倒的に楽しい!

第1案を園長と共に練り直し第2案、また練り直して第3案と、プランを磨き上げてゆきます。途中途中で、保育士の意見を伺う事も大事です。子ども達と共に実際に使うのは、現場の保育士さん達ですからね。

年少さんの部屋は「顔」を意識したデザインにしてみました。丸窓を目と口に見立てると、鼻が欲しくなります。やや悪のりかなと思いつつも、壁に鼻を描こうか?と雄希園長に提案すると快諾してもらえました。それでは、ってんで施工中か施工後に鼻入れ作業をする事も決まりました。

0歳第1稿

手書きプラン 0歳児

CADの導入

第3プラン位の段階で、ゲミノ輸入元(株)アネビーにCADの図面を依頼。二度手間のようですが、前述した理由で、このやり方がベストだと、私は確信しています。CADの図面の良い所は、裏側、上方、子ども目線、あらゆる視点から、観る事が出来る点です。色指定もボタン操作イッパツです。

数ヶ月間ほどかかったでしょうか、何度か金沢に足を運び、電話、FAX、メールのやり取りの末、ついにこれでいこう!という、7つの泉の台オリジナルプランが完成しました。パチパチパチパチ・・・・。

0歳CAD

CAD

0歳完成

完成

命名

その後、雄希園長から、各部屋のゲミノハウスに名前を付けたいとの申し出がありました。グッドアイディアだと思いました。子ども達にとって単なる二階立てハウスより、名前があった方が愛着が湧いて、いっそう親しまれるに違いありませんからね。で、この名前もプランを考えた私が付けさせていただきました。一例をあげましょう。「ふしぎな世界」・・・大きな合わせ鏡のスペースがあって自分が何十人も見える。「おかおのおうち」・・・正面から見て顔に見える。「緑屋根の家」・・・もちろんby赤毛のアン――といった具合です。

仕上げ

園舎の建築が若干遅れはしましたが、新園舎も無事完成し、直ちにゲミノオリジナルの組み立て開始です。これが昨年の暮れも押しつまる12月中旬。この完成を見届けるのもプランナーの大事な仕事ですし、鼻も描かなければなりません。百町森はおもちゃ屋なので、この時期クリスマス商戦真っ只中です。私は店のスタッフが目まぐるしくバタバタしている中、金沢に跳びお絵描きを楽しんだのでありました。だはは。

(相沢)